愛犬のスキップは危険信号!?膝蓋骨脱臼(パテラ)の見分け方
愛犬のスキップは危険信号!?膝蓋骨脱臼(パテラ)の見分け方|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2024/03/20ケガ・病気
愛犬のスキップは危険信号!?膝蓋骨脱臼(パテラ)の見分け方
「うちの子、スキップしていて可愛い!!」 愛犬家の皆さんのなかで、このような方はいらっしゃいませんか?
一見、可愛いと思ってしまう愛犬のスキップですが、実は要注意です!!
病気の可能性があるかもしれません。 疑いがあるのは、「膝蓋骨脱臼(パテラ)」です。
ここでは、膝蓋骨脱臼(パテラ)についての正しい知識を得ていただき、あなたの愛犬をこの病気から守ってあげていただきたいと思います。
膝蓋骨脱臼(パテラ)とはどんな病気?
膝蓋骨脱臼(パテラ)とは、犬の後ろ足の膝蓋骨が正常な位置から外れる病気です。
膝蓋骨脱臼は英語で「Patellar dislocation」といい、このうち膝蓋骨(膝のお皿)を指す「パテラ」の部分だけに省略して「パテラ」と呼ばれることもよくあります。 徐々に進行していき、重症化すると歩行困難に陥ることもあります。
パテラの症状とは?
パテラの症状について見ていきましょう。
パテラには、大きく分けて4つのグレードがあります。
早期発見することで、重症化を避けることも可能です。
まずは、どのような症状が見られたら注意が必要なのか、それぞれのグレードについてご説明いたします。
グレード1
普段、膝蓋骨は滑車溝に収まっており、後ろ足の膝を伸ばして膝蓋骨を指で押すと脱臼しますが、指を離すと自然に正常な位置に収まります。
ワンちゃんが日常生活において脱臼を起こすことは稀であり、飼い主さんが気づかないほどの微小な違和感であることが多いです。
グレード2
私たち人間も同じですが、脱臼しているときは正常な動きができません。
そのため、脱臼すると歩行が困難になり、足を地面につけられなくなります。
しかし、足を曲げたり伸ばしたりしているうちに、膝蓋骨が正常な位置に戻ることもあるため、ほとんどのワンちゃんは、日常生活を普通に送ることができます。
愛犬に、頻繁に足を曲げ伸ばしして、自力で脱臼を治しているような様子が見られたら、受診することをおすすめします。
脱臼をしては治すを繰り返すことで、骨が変形したり、靭帯へ負担が生じます。
これにより、グレード3へ移行する可能性が高まりますので、注意が必要です。
グレード3
終始、膝蓋骨が正常な位置から外れ、脱臼したままの状態が続くのがグレード3です。
膝蓋骨を指で押すと正常な位置に戻るものの、すぐに脱臼してしまいます。
常に、後ろ足を曲げて腰をかがめたまま歩いたり、内股になっている様子が確認できるため、異常に気付く飼い主さんが増えます。
グレード4
膝蓋骨が、正常な位置から完全に外れ、常に脱臼した状態です。 グレード1~3のように、膝蓋骨を指で押しても正常な位置に戻すことはできません。
これにより、骨が重度に変形するため、ひざの関節を伸ばせなくなってしまいます。
ここまで症状が進んでしまうと、以下のような様子が見られます。
- 正常な歩行ができない
- 後ろ足が曲がったまま伸びない
- うずくまるようにして歩いている
- 地面に足をほとんどつけない状態で歩いている
パテラの原因とは?
パテラの原因は、
- 骨や筋肉の形成異常によって、成長期に起きる先天的なもの
- 交通事故や転落、栄養障害などによる後天的なもの
が挙げられます。 一般的には小型犬がなりやすく、先天的な場合は、子犬の時期に発症することが多くみられます。 また多い犬種として挙げられるのが、
トイプードルで14.4%、7頭に1頭が発症しているという調査結果が上がっています。
次いで、ポメラニアン11.2%、柴犬11.1%という結果が出ています。
※アニコム損害保険(株)、理化学研究所の共同チーム調べ/0歳の子犬2048頭が対象
パテラの種類
パテラには、3種類あります。
- くぼみから内側へ外れる「内方脱臼」
- くぼみから外側へ外れる「外方脱臼」
- 両側へ外れる「両方向性脱臼」
一番多く見られるのが、内方脱臼です。 片足だけでなく、両足に発症する場合もあります。
膝蓋骨脱臼(パテラ)の治療法について
膝蓋骨脱臼(パテラ)の治療法は、2つ方法があります。
保存療法
この方法は、グレードが低く症状が軽い場合の治療法です。
- 鎮痛剤を投与して膝関節の炎症を抑える
- サプリメントを投与する
などの治療を行ないます。
脱臼を繰り返さないようにし、症状の悪化を防ぐとともに、進行を抑えるための処置です。
外科的手術
グレードが高い場合には、手術という方法が取られます。
特に、成長期は膝蓋骨脱臼がほかの部位の筋肉や骨格形成に悪影響を及ぼすことがあるため
これを防ぐために、手術が行われることがあります。
症状や犬種、年齢によって手術方法はさまざまです。
膝蓋骨脱臼を予防する方法
先天的に患っていないかぎり、膝蓋骨脱臼は、事前に予防することも可能です。
あなたの愛犬を守るためにも、ぜひ以下の点に気を付けてあげてください。
滑りにくくする
フローリングやタイルの床は、ワンちゃんにとっては滑りやすく、膝関節への負担が大きくなります。
カーペットなど、滑り止めになるものを敷いてあげることで、滑りにくくし、病気の予防になります。
また、爪や肉球の間の毛が伸びていると、滑りやすくなるので、定期的にキレイにカットしてあげましょう。
適正体重をキープ
人間もそうですが、体重が重いと膝に負担がかかりますよね。
ワンちゃんも同じです。
目安としては、「肋骨がうすい皮下脂肪の層の下に触れる体型」を目指してください。
肋骨が触れないほど、脂肪がついていたら肥満の可能性大です。
関節ケア用のサプリメントを摂取
不足しがちな栄養を効率よく摂取するために、私たちはサプリメントを活用しますが、愛犬にもサプリメントは大変有効です。
間接を滑らかに動かすための関節ケア用のサプリメントを摂取させるなど、常日頃から気を付けてあげることがポイントです。
コラーゲンやグルコサミン、コンドロイチンなど、人間も膝関節が気になる方は、サプリメントで摂取していることと思います。
これらは、ワンちゃんにも同じく有効です。
まとめ
膝蓋骨脱臼は、言葉が話せないワンちゃんにとって大変辛いものです。
日頃から、飼い主さんが愛犬の様子に気を配り、できるだけ症状が軽いうちに治療を始めることが、重症化を防ぐためには大変重要です。
また上記に挙げた事前の予防対策をしっかりと行なうことで、大切な愛犬を守ることができます。
ミネルバ動物病院でもワンちゃんの膝蓋骨脱臼(パテラ)の手術が可能です。
当院での術後再発率は、1%未満(300症例以上)
※一般的に膝蓋骨内方脱臼の術後の再発率は20%と言われています
ワンちゃんの足がおかしいかな?と思ったらぜひ、当院へご相談ください。
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