2025/12/10ケガ・病気

犬のヒート(生理)とは？ヒートになるとどうなる？注意点も紹介

女の子のわんちゃんを飼ったことがある方はご存知だと思いますが、犬にもヒート（生理）があります。
しかしながら、犬のヒートは人間のヒートとは少し異なります。

ここでは、犬のヒートのサイクルや注意点など、またそれに関連して避妊手術についてもご説明いたします。

犬のヒート（生理）の周期と日数は？

犬のヒートの周期は、発情周期と関連性が高いのが特徴です。

犬の発情周期は、発情前期、発情期、発情休止期、無発情期の４つに分けられます。

このうち、ヒートの期間は、発情前期と発情期です。
発情前期には、約８日間、発情期に入って排卵までの約１０日間、合計約２週間の間、陰部が腫れて出血が見られます。
発情前期に関しては、個体差があり、短い子なら３日間程度、長い子であれば１ヶ月間続く子もいます。
また小型犬のなかには、出血量が少ない子もいて、自分で陰部を舐めて処理するため、飼い主さんがヒートであることを気づかない場合もあります。

犬の発情期は、約１０日間ほど続きますが、そのあと、黄体期と呼ばれる約２ヶ月間の発情休止期に入ります。
そしてそのあと、３〜８ヶ月間が無発情期となります。
これに伴い、犬のヒートは、個体差はあるものの半年に１回程度訪れるということです。

犬はいつ頃初めてのヒート、発情期を迎えるの？

犬の初めての発情期は、生後７ヶ月〜９ヶ月頃とされています。
ただし、超小型犬のなかには、生後１年を過ぎてという子もいます。

また栄養状態が良くなかったり、生殖器に異常がある場合、初めての発情期が遅くなったり、ヒートがなかなか始まらない場合もあります。

犬のヒートに伴い犬の行動はどうなる？

ヒートが始まると、陰部が腫れて出血します。
犬によっては、陰部の違和感から陰部を舐めたり、頻尿になる子もいます。

また、食欲不振、軟便、下痢、便秘、なんとなく元気がなくなる子もいます。
これらの症状は、発情期が終わると見られなくなります。

初めてヒートになった犬のなかには戸惑う子もいて、どこか不安そうな表情をしてみせたり、飼い主さんのあとにくっついて歩くというような子もいるでしょう。

また犬には人間のように生理痛はないと言われています。
ただしこれも個体差があり、犬によっては多少の痛みを感じている子もいるかもしれません。

偽妊娠について

妊娠していないのに、次のような症状が見られる子がまれにいます。

• 発情から２ヶ月経ったくらいに乳腺が発達してきて乳汁を分泌される
• 部屋の薄暗いところで巣づくりを行なう
• 何かを守るような攻撃的な様子が見える

このような症状が見られたら偽妊娠かもしれません。
偽妊娠を繰り返す犬は、乳腺腫瘍の発症リスクが高くなる傾向にあります。

また犬は、子宮に黄体ホルモンが作用し続ける黄体期が２ヶ月ほど続きます。
そのため、子宮蓄膿症にかかりやすいとされています。

この子宮蓄膿症は、６歳以降に発症しやすく、嘔吐、食欲不振、多飲、多尿などといった症状が見られます。

また外陰部から茶色っぽい膿のようなおりものが出てくるので、飼い主さんも異変に気づくことでしょう。
治療が遅れると、命にかかわりますので、注意が必要です。

犬のヒートの注意点

犬のヒート中に飼い主さんが気をつけなければならないことがいくつかあります。
ここからは、愛犬のヒート中に飼い主さんが気をつけるべき点についてご紹介いたします。

フェロモンに注意！

ヒート中は、陰部からオスを惹きつけるフェロモンが出ています。
独特なにおいは飼い主さんにも分かるほどです。

散歩に出ると、オス犬が近づいてくるので、なるべくほかの犬に会わないように散歩の時間帯やコースを変更する、もしくは、すれ違う犬の飼い主さんにも気をつけてもらえるようオムツを履かせるなどといった対策をすると良いでしょう。

ドッグランには、去勢していないオス犬もいたり、メスを巡ってオス犬同士がケンカをすることもあるので、ヒート中は、ドッグランの利用は控えた方が良いでしょう。

細菌感染に注意！

ヒート中は、陰部から細菌感染しやすくなります。
シャンプーは控えたほうが良いでしょう。

愛犬がヒート中は、家のなかも血が落ちて汚れることがあります。
子犬の頃から、生理用パンツやオムツに慣れさせておくと、ヒート中に抵抗なく生理用パンツやオムツを付けてくれるので、犬飼い主ともに、ヒート中のストレスも軽減されるでしょう。

犬の閉経は？

犬は、人間のように閉経はありません。
老犬でもヒートがあり、妊娠する可能性もあります。

しかしながら、シニア期以降の妊娠と出産は、母体に大きな負担がかかるので、多くの動物愛護先進国においては、５〜６歳までの出産を推進しています。

避妊手術のメリット・デメリットは？

避妊手術をすれば、ヒートはなくなります。
これにより、犬も飼い主もヒート中のストレスから解放されます。

またこのほかにも避妊手術のメリットがあります。
前述した命を落としかねない子宮蓄膿症にかからないという点です。

また２回目のヒートより前に避妊手術をすれば、悪性の乳腺腫瘍のも９０％以上の確率でかからないと言われています。

一方、避妊手術のデメリットは、太りやすくなるという点です。

まとめ

犬のヒートは、犬にも飼い主さんにもストレスです。

交配させる予定がないのであれば、避妊手術を検討してみても良いでしょう。

避妊手術をしないのであれば、シニア期以降の、子宮蓄膿症に注意が必要です。

この記事の監修者

獣医師 田中 浩二

ミネルバ動物病院 院長

兵庫県川西市の犬猫専門の動物病院です。
在籍しているスタッフが多いため、大型犬の手術・術後管理も安心です。
病気の相談、診療のみならず、食餌に関する素朴な疑問、日常のケアなど、どんなことでもお気軽にご相談ください。

医院情報

病院名	ミネルバ動物病院
住所	〒666-0013　兵庫県川西市美園町2-16
電話番号	072-758-5111
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