犬の糖尿病はどんな症状?なりやすい犬種は?
犬の糖尿病はどんな症状?なりやすい犬種は?|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2023/11/11ケガ・病気
犬の糖尿病はどんな症状?なりやすい犬種は?
人間界では生活習慣病の代表である糖尿病。
なったことがある人はもちろん、なったことのない人でも一度は耳にしたことのある有名な病気だと思います
実はこの病気、犬の世界でもなじみのある病気なのです。
人間のものとどう同じで、どう異なるのか、見ていきましょう。
糖尿病とは
まず初めに糖尿病とは、名前にもあるように糖分、すなわちグルコースが何かしらの原因により体内に過剰に溜まってしまう病気のことを言います。
人間でもワンちゃんでも食べ物などから経口的に糖分を摂取した後の体内での反応や働きにほとんど違いはありません。
口から入ってきたグルコースは胃や腸の粘膜で吸収されて血管に入ります。
グルコースは体中の組織や細胞のエネルギーのもととなるので、血流にのり様々な場所に作用して体を動かす手助けをします。
また一度摂取したグルコースはひたすらに使われ続けることはなく、肝臓においてグリコーゲンという物質に可逆的に作り替えられ貯蔵されたり、また副腎で作られるホルモンにより体内からグルコースを作り出すことも可能です。
このようにして取り込んだり、作られたグルコースは体中で利用され、余ったものは最終的に膵臓から出るインスリンというホルモンにより分解されます。
糖尿病ではこのインスリンが重要な役割を果たしてきます。
最初にも説明したように、糖尿病とは糖が体内に過剰に溜まってしまう病気です。
つまり体中の組織や細胞で利用されずに余ったグルコースが正しく分解されずに居残ってしまったわけです。
こうなってしまう理由としては、インスリンがしっかり作れない、厳密に言うとインスリンを作る膵臓の細胞が何らかの原因により壊されてしまう、あるいはインスリンは正しく作れているのになぜか反応されない、という2つが挙げられます。
医療的には前者をⅠ型糖尿病、後者を
Ⅱ型糖尿病と呼びます。
ワンちゃんは圧倒的にⅠ型糖尿病の割合が高く、先天的に膵臓が小さかったり、自己免疫疾患の一つで免疫細胞が自分の細胞を悪者と間違えて攻撃してしまったり、膵炎に続発してしまったりなど原因が明確であることがある一方で、原因不明なケースもあります。
ではどんなワンちゃんが糖尿病になりやすいのでしょうか。
糖尿病になりやすい犬の種類は?
人間界では生活習慣病のイメージが強い糖尿病ですが、ワンちゃんの世界では必ずしも肥満や過食が原因とはなってきません。
糖尿病は一般的に3歳以降に発症し、7-9歳が発症のピークと言われています。
また女の子は男の子よりも2-3倍ほど糖尿病になりやすいと言われていて、これは発情期のホルモンによりインスリンが働きにくくなることにより起きます。
まれに2-4カ月齢~1歳未満における若齢発症もみられ、これは遺伝的素因が関係し、キースホンド犬というワンちゃんがなりやすいという報告があります。
ほかにも遺伝的に糖尿病になりやすいワンちゃんの種類というものがあり、ビションフリーゼ、ケアンテリア、プードル、シュナウザー、スピッツ、サモエドなどがあげられます。
犬の糖尿病の典型的な症状は?
次に糖尿病になったときに見られる典型的な症状を見ていきましょう。
代表的な症状としては、
- たくさん水を飲む
- たくさんおしっこが出る
- 体重が減った、痩せた
- 太った
などがあげられ、他にはたくさん食べたり、被毛がバサバサになったり、活動性が低下したりとか、重症度が高い時には昏睡状態になり、低体温を示します。
また糖尿病は合併症の発生が多く、皮膚感染症、膀胱炎、外耳炎、子宮蓄膿症など一見全く関係がないような病気の症状を示してきたり、白内障やケトアシドーシスになるケースもあります。
ケトアシドーシスというのは急性的に発症し、体内が急激に酸性に傾く病態のことを言い、合併症の中でも1番というくらい重症度の高いものです。
ケトアシドーシスになってしまった時には食欲廃絶、ぐったり、深呼吸のような呼吸、口が臭い(アセトン臭)などの症状が見られ、すぐに病院にかかることをおすすめします。
糖尿病と他の病気との見分け方は?
上記に挙げた症状は糖尿病に特異的な症状ではなく、他の病気でもよく見られるものなので、獣医師であっても見た目の症状のみで糖尿病と診断することは不可能です。
しかし、水をたくさん飲むようになったなぁ、最近痩せたかな?など毎日一緒にいる飼い主様にしか気づけない症状はたくさんあります。
少しでも異変を見つけたらかかりつけの動物病院を受診するようにしましょう。
どうやったらワンちゃんを糖尿病から守れるか
最後に、糖尿病を予防するには日々の食事と運動の管理が大切になります。
人間でもワンちゃんでも糖尿病は生活習慣病の一つとして認知されるようになってきました。
お菓子の食べ過ぎや運動不足は血糖値の上昇を手助けしてしまい、糖尿病のリスクは高まります。
しかし前述のようにどうしてもなりやすい犬種の子はいるし、食ムラが激しくて食事の管理が大変な子もいます。
そのような子たちについては1年に1回で構いませんので動物病院で健康診断を行うようにしましょう。
特に症状が出ていなくても健康診断で検査することにより偶発的に病気が見つかることはよくある事です。