猫の混合ワクチン接種はどれがいい?種類別のメリット・デメリット
猫の混合ワクチン接種はどれがいい?種類別のメリット・デメリット|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2023/10/23ケガ・病気
猫の混合ワクチン接種はどれがいい?種類別のメリット・デメリット
ネコちゃんは子猫の時に2~3回、以降は年に1回混合ワクチンの接種が推奨されています。
ワクチンに含まれる病気はどれも発症すると重い症状が出たり、他の病気も同時にかかると命の危険があるような怖い病気です。
普段家から出ない子でも、病院やホテルを利用したときに別のネコちゃんから感染してしまうことがあるので、必ず接種してあげましょう。
この記事ではネコちゃんの混合ワクチンについて解説したいと思います。
猫の混合ワクチンの種類
ネコちゃんの混合ワクチンには以下のものがあります。
- 3種
- 4種
- 5種
3種混合ワクチン
猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症を予防することができます。
猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症は目や口、鼻などの粘膜に症状が出ます。
鼻汁、目ヤニ、口腔内の潰瘍、歯肉炎の原因になりますが、一度感染が成立するとウイルスは体内から消えないので症状が治ったり出たりを繰り返します。
猫汎白血球減少症はパルボウイルス感染が原因となるため、パルボと呼ばれる事もあります。
子猫や若い猫、病気で免疫力の落ちている猫に感染しやすく、感染して数日で下痢、嘔吐、脱水症状、発熱、食欲不振などの強い症状が出てしまいます。
致死率も約30%と高く、また伝染力も強いので、子猫間で集団感染すると恐ろしい病気です。
これらの病気は、猫ちゃん同士が接触する距離であれば感染してしまうので、多頭飼育している場合、トリミングやホテルに預ける際、外に出るネコちゃんは接種することを推奨しています。
4種混合ワクチン
猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症に加えて、猫白血病(FeLV)を予防することができます。
この病気はネコちゃん同士が喧嘩することで感染し、一度感染すると治りません。
感染後は免疫力を下げてしまい、他の病気が重症化したり治りにくくなってしまいます。
感染して数年経つと血液の病気になりやすく、これらの病気が原因で寿命を縮めてしまうこともあります。
FeLVを既にもっているネコちゃんと接触する環境なら必ず接種して予防してあげましょう。
一方で、既にFeLVに感染している場合は接種しても治療や発症を遅らせる効果はありません。
5種ワクチン
上記のワクチンに加えて、猫クラミジア感染症の予防ができます。
クラミジア・フェリスという細菌感染が原因で、目に症状が出ます。
クラミジア感染単体であれば抗生剤の治療が有効に効きますが、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症の原因となるヘルペスウイルス、カリシウイルスと混合感染することで強い症状が出るため、角膜の混濁や結膜浮腫、失明などの症状が残る事があります。
このワクチンは治療後も新たにクラミジアに感染することを予防するため、接種する意義があります。
猫用猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症ワクチン
猫用猫免疫不全ウイルス感染症は猫同士の喧嘩で感染し、一度感染が成立するとウイルスは殻だから消えません。
猫エイズとも呼ばれ、発症すると免疫不全により他の病気で寿命を縮めてしまう事があります。
これを予防するため、単体で接種できるワクチンがあります。
感染が予防できるというメリットはありますが、既にFIVに感染している場合は効果がありません。
また、完全室内飼育であればFIVに感染しないこと、ワクチン自体の供給が不安定であることなどの理由から、接種する機会は減っています。
どれを選べばいいの?接種のメリット・デメリットも解説
ワクチンは年に一回、接種しよう!
全く家から出ない場合でも病気になって動物病院に行った際に、他の猫から待合室でキャリーケース越しに感染することもあります。
体調が悪いときはワクチンが接種できないので、元気なタイミングで来院します。
ワクチン接種のデメリットとして、極まれにワクチンアレルギーが出る場合がありますが、そのほとんどは接種して数分で出るので、午前中や診察時間に余裕があるタイミングで来院しましょう。
結局何種ワクチンを打てばいいのかな?
そもそも病院によっては1種類しか置いてないところもありますが、選んで接種できる際はネコちゃんの生活環境を考えて獣医師と相談して接種するようにしましょう。
一番取り扱いが多いのは3種ワクチンであり、完全室内飼育なら3種で問題ありません。
種類が少ない分、ワクチンアレルギーや副反応のリスクが少ないというメリットがあります。
外に出る猫や同居猫にFeLV感染猫がいる場合は4種ワクチンの接種がおススメです。
FeLVは猫同士のけんかで感染するので、ワクチン接種で予防するほかに外に出さない、感染している猫とは飼育環境を分けるという対策も有効です。
4種ワクチンのデメリットとして、ワクチン接種部位にしこりができる事があり、非常に低い確率ですが外科切除が必要なケースがあります。
猫クラミジア症の原因となるクラミジア・フィリスは人間のクラミジア症の原因菌とは異なるものの、人間に感染したという報告もあります。
そのため、5種ワクチンは赤ちゃんやお年寄りの方がいる家庭のネコちゃんでは接種を検討したいです。
デメリットは4種と同様にしこりができやすいことと、ワクチンに含まれる成分が多いことからワクチンアレルギーのリスクはわずかに高まります。