猫の口内炎って?対処法と予防法についてご紹介
猫の口内炎って?対処法と予防法についてご紹介|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2024/06/21ケガ・病気
猫の口内炎って?対処法と予防法についてご紹介
人間にとっても辛い口内炎。
食事をするのも話すのも辛いですよね。
猫にも口内炎ができるってご存知でしょうか?
ここでは、人間と同じように猫にとっても辛い口内炎についてご紹介いたします。
猫が口内炎になる原因とは?
猫が口内炎になる原因の多くは、ウイルスだと言われています。
主な原因として考えられるのは、3つです。
①感染症による口内炎 | 上部気道ウイルス(猫カリシウイルス、猫ウイルス性鼻気管炎ウイルス)の感染症によるものが多くあります。 |
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②免疫低下による口内炎 | FeLV、FIV感染、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、腎不全などによって、免疫機能が低下し、二次的に口内炎を発症することもあります。 |
③歯周病による口内炎 | 歯の周囲にたまった歯垢や歯石のなかの細菌によって、歯茎などの歯のまわりが炎症を起こす病気、それが歯周病です。 歯周病や歯肉炎の進行が進むと、口内炎も引き起こすことがあります。 |
猫の口内炎の症状について
猫の口内炎には、おもに4つの症状が見られます。
以下のような症状が見られたら、動物病院への受診をおすすめします。
①よだれが増える
人間と同じように、口内炎ができれば猫も食べ物を飲み込む際に痛みをともなうため、よだれの量が増える場合があります。
口腔内が痛いので、手で口のあたりをこする仕草を頻繁にするため、手がよだれでべとべとになることもあります。
②食欲が減る
口内炎で食べ物が染みる、口内炎にあたって痛い・・・
というのは猫も人間も同じです。
そのため、食事をするのが辛く食欲が減ったように見えます。
お腹は空いているけど痛いから食べられないので、食事を中断するようになる、また、食べ物が口内炎にあたって痛みをともない、食事中に奇声を上げるなどの行動が見られるようになります。
③口臭がきつくなる
歯周病にかかっていると、口臭がきつくなっている場合があります。
普段と異なる臭いがする、口臭がキツイ、などと思ったら要注意です。
④毛づくろいしなくなる
猫は、舌を使って毛づくろいをしますが、舌にも口内炎を発症している場合には、毛づくろいをするたびに痛みをともなうため、毛づくろいをしなくなります。
結果、毛並みが悪くなってしまうこともあります。
猫の口内炎の治療法とは?
猫の口内炎の治療方法についてご紹介します。
猫の口内炎の場合、以下の5つの治療法があります。
①投薬治療
口内炎の原因や症状によって処方される薬はまちまちですが、感染に対する抗生剤、インターフェロンといったものや、炎症や痛みを抑えるためのステロイド剤、消炎鎮痛剤、免疫抑制剤などを投与することが多く見られます。
②歯石を取る
歯周病が口内炎の原因であれば、歯石を除去して口腔内をきれいにすることにより、歯周病の原因を取り除くという方法です。
歯石除去は、全身麻酔をかけて行なうことが多く、猫の負担になることもあるので、獣医師と相談のうえ行ないましょう。
③抜歯する
歯周病が原因の口内炎の場合、歯石を取るだけで症状が落ち着く場合もありますが、歯周病の進行が激しい場合、歯がぐらぐらしている場合があります。
この場合には、抜歯が必要です。
歯ごと原因を取り除いてしまうという方法です。
④食事や水分補給
これまでの対処法が、原因を取り除くという根本的な治療であったのに対して、これは、栄養補給のための対症療法となります。
口内炎がいたくて食事や水分摂取もままならず、体重が落ちてしまい、栄養が足りていない場合に行なう対処法です。
口内炎が痛くても食べられるように、猫ちゃんにとって美味しい、食べやすいフードを選びましょう。
水も飲めないほどであれば、脱水症状を起こしている可能性もあります。
その際には、点滴をするなどの処置が必要です。
⑤再生医療
再生医療とは、細胞を用いて治療する方法です。
本来猫ちゃんが持っている修復機能や自己治癒力を利用して、治すという方法です。
健康な猫から脂肪組織を採取します。
それを体外で栽培培養します。
培養した細胞をケガや病気の猫に投与するという方法です。
慢性口内炎の場合、この再生医療を用いて治療をするという方法がありますが、現在まで臨床研究段階なので、かかりつけの動物病院の獣医師に聞いてみてください。
猫の口内炎予防法とは?
愛猫が口内炎で辛そうにしているのは、見るに堪えませんよね。
事前に予防ができるなら、ぜひしてあげたいものです。
口内炎予防には、以下の4つの方法があります。
①ワクチン接種
口内炎の原因に、猫カリシウイルスや猫白血病ウイルスといった感染症がありますが、これらにはワクチンがあります。
ただし、ワクチンにもさまざまな種類がありますので、どのワクチンが愛猫に合っているのか、かかりつけの獣医師に相談してみてください。
②フードをドライに
歯垢や歯石が原因で口内炎になる場合も多くあります。
予防するには、歯垢や歯石をつけないことが一番です。
フードを工夫することにより、予防に繋がることがあります。
一般的には、ドライフードの方が歯石がつきにくいと言われています。
③口腔内をキレイに
口腔内をキレイにしておくことは、口内炎予防に有効です。
しかしながら、猫ちゃんは口のなかを触られるのが苦手な子が多いです。
小さいころから、口のなかを触ることに抵抗がないようにしておくと、歯磨きもしやすくなります。
近年では、シート状の歯磨き用品や指サック式の歯ブラシなど、さまざまな歯磨きグッズがあります。
愛猫にあったものを選んでみてください。
どうしても口のなかを触られるのが嫌、という猫ちゃんには、飲み水に混ぜて飲ませるタイプ、口のなかに数滴たらすだけのものなどもあります。
④サプリを使う
免疫力が落ちると口内炎ができやすくなります。
免疫力を挙げるために、上手にサプリメントを使うという方法もあります。
フードの混ぜるタイプや、歯や歯茎に塗るタイプのものなどありますが、かかりつけの獣医師と相談しながらトライしてみるのも良いでしょう。
まとめ
人間の口内炎は、ポツポツと出来るものですが、猫の口内炎の場合は、口のなかや奥の方にまで広がっていることも多くあります。
かなり辛いことが想像できます。
愛猫を痛みから救ってあげられるのは、飼い主さんです。
口内炎の症状が見受けられたら、早めに動物病院を受診させましょう。
また辛い思いをさせないためにも、日頃から予防に努めることも愛猫のためには大変重要なことです。