猫の椎間板ヘルニアとはどんな病気?症状と治療、対処法について
猫の椎間板ヘルニアとはどんな病気?症状と治療、対処法について|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2025/01/07ケガ・病気
猫の椎間板ヘルニアとはどんな病気?症状と治療、対処法について
人間にもお馴染みの椎間板ヘルニア。
実は猫にもあります。
ここでは、椎間板ヘルニアの症状について、またそれについての対処法についてご紹介させていただきます。
椎間板ヘルニアってどんな病気?
猫の椎間板ヘルニアは、猫の脊椎にある椎間板というクッション材が何らかの損傷や変性を受けることによって、脊髄や神経根が圧迫される病気のことです。
椎間板は、各椎骨間に位置している、脊椎の柔軟性を保持して、衝撃を吸収する役割を果たしています。
初期の段階においては、飼い主が気づくことは少ないため、飼い主が気づいたときには、症状が進んでしまっている場合が多くあるので要注意です。
椎間板ヘルニアの原因
猫の椎間板ヘルニアの原因は、大きく6つ挙げられます。
- ① 遺伝的要因
- ② 加齢
- ③ 外傷
- ④ 肥満
- ⑤ 運動不足
- ⑥ 栄養不足
椎間板ヘルニアにかかりやすい猫の種類は?
椎間板ヘルニアにかかりやすい猫種があります。
マンチカンやペルシャ、ヒマラヤン、バーマンなどは、椎間板ヘルニアにかかりやすいとされています。
椎間板ヘルニアの症状について
椎間板ヘルニアの症状は、椎間板が脊髄へ圧迫を起こしている場所や程度によって異なりますが、おもには次のような症状が見られます。
歩行障害 | ふらついたり足を引きずるなど、歩く際に異常が見られる |
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痛み | 触ると痛がったり、いつもと違う位置で体を丸めている場合、椎間板ヘルニアによる痛みを感じているとも考えられます |
感覚障害 | 椎間板の圧迫によって神経障害を引き起こすことがあります。麻痺や感覚の低下が見られる場合があります。 |
筋肉の萎縮 | 特定の身体部位の筋肉が萎縮するなどの症状が見られることがあります。 |
排泄障害 | 進行が進むと、排尿や排便のコントロールができなくなることがあります。 |
活動量の減少 | 痛みがあるため、いつもより活動量が減っている場合があります。 |
姿勢異常 | 痛みを緩和するため、いつもと異なる姿勢でいることがあります。 |
椎間板ヘルニアかも?と思ったらここをチェック!
猫の椎間板ヘルニアは、飼い主が気づいたときにはすでにかなり進行が進んでいる場合が多くあります。
できるだけ、愛猫の異変に早く気付いてあげることが大切です。
ここでは、椎間板ヘルニアかも?と思った際に役立つチェック項目をご紹介いたします。
- □ 歩行の異常が見られる(足を引きずる、ふらつきが見られる、歩行が不安定、歩きたがらない等)
- □ 痛みを感じているように見られる(触れられるのを嫌がる、突然鳴くことがある、突然噛みつくようになった)
- □ 感覚や運動機能に異常が見られる(足の感覚が低下しているように見える、特定の身体部位の筋肉が萎縮している)
- □ 排泄に問題がある(尿失禁がある、排便のコントロールができていない)
- □ 行動が変化した(活動量があきらかに減った、飼い主から身を隠すことが多くなったなどこれまでとは異なる行動を取るようになった)
- □ 食欲の減少(食欲がない、元気がない)
上記のチェック項目のいずれかに☑がついたら、早めに動物病院を受診しましょう。
椎間板ヘルニアの検査方法について
愛猫が椎間板ヘルニアではないか?との疑いを持ったら、迷わず動物病院を受診しましょう。
動物病院では、まずは触診による診察を行ないます。
併せて、歩行の様子や反射について確認を行なうとともに、どこか痛がる素振りを見せていないか、筋力の萎縮や感覚の有無など猫の状態を確認していきます。
その後、椎間板ヘルニアの疑いがあるようであれば、放射線検査やMRI、CTスキャンなどでヘルニアの状態を確かめていきます。
猫の椎間板ヘルニアの治療方法
ヘルニアの症状によっても治療法は異なります。
症状が軽い場合は、痛みや炎症を止める薬を服用する内科的治療を行ないます。
内科的治療でも治らなかった場合には、手術を行ないます。
手術では、脊髄を圧迫している物質を取り除く手術を行ないます。
このほか、症状にあわせてレーザー治療、リハビリテーションなどといった治療が行われます。
椎間板ヘルニアの予防について
飼い主としては、愛猫が椎間板ヘルニアで苦しむのを目の当たりにするのは辛いことです。
できれば予防して椎間板ヘルニアにならないように気を付けてあげたいですよね。
ここでは、椎間板ヘルニアの予防に効果的な4つの対策についてご説明いたします。
①適切な体重管理
肥満は、椎間板に大きな負担をかけてしまいます。
まずは、肥満にならないように、適切な食事を与えるとともに、適度な運動を取り入れることで、愛猫の体重管理に努めましょう。
②バランスの取れた栄養
丈夫な体をつくるためには、食事に気を配ることが大切です。
栄養バランスの取れた高品質な猫用のフードを与えるようにしましょう。
③安全な環境の確保
椎間板ヘルニアの原因のひとつに外傷があります。
猫が落下してケガをするのを防ぐためにも、高いところから飛び降りるのを防ぐような環境づくりを心がけましょう。
④定期健診を受ける
獣医師による定期健診は、椎間板ヘルニアの早期発見に効果的です。
早期に発見すれば、内科的治療で治る可能性もあります。
まとめ
椎間板ヘルニアは、突然発症することもよくあります。
愛猫に麻痺が見られたり、歩く様子が変だったり、急に鳴いたり噛みついたりすると、飼い主さんもびっくりすると思いますが、猫からのSOSを見逃さず、「おかしいな?」と思ったら、なるべく早く動物病院へ連れていきましょう。
早く処置をすれば、回復する確率も高まります。