猫の尿路結石はどんな病気?症状、原因、予防の方法を解説
猫の尿路結石はどんな病気?症状、原因、予防の方法を解説|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2024/09/20ケガ・病気
猫の尿路結石はどんな病気?症状、原因、予防の方法を解説
猫の代表的な病気のひとつに尿路結石があります。
尿路結石をそのまま放置すれば、急性腎不全から尿毒症を起こし、命にも関わります。
ここでは、猫の尿路結石の症状と原因、また予防の方法などをご紹介いたします。
猫の尿路結石とは
猫の尿路結石とは、猫の下部尿路疾患のひとつです。
尿管、膀胱、尿道に結晶や結石ができる病気です。
結石が尿管や尿道に詰まって閉塞すると、急性腎不全から尿毒症を引き起こし、数日で急激に症状が悪化し、命に関わる事態になります。
結石の疑いがある場合は、早めの受診をおすすめします。
尿路結石の症状
尿路結石の症状は、尿の状態やトイレの頻度で気付くことができます。
以下のような症状が見られたら要注意です。
- ピンク色や濃い色の尿、血尿が見られる
- 尿にキラキラした砂状のものが見られる
- 一日に少量の尿を何度もする
- 排尿時に力んでいたり、排尿時に痛そうに鳴く
- 尿があまり出ない
- トイレ以外での排尿や失禁が見られる
- 落ち着きがない
- お腹まわりを触ると嫌がる
- 食欲がない
- 嘔吐が見られる
猫の尿路結石の治療法について
猫の尿路結石の治療には、以下の方法があります。
<療法食による治療>
ストルバイト、尿酸塩、シスチンといった結石であれば、療法食で溶かすことが可能です。
<摘出手術による治療>
シュウ酸カルシウムは療法食では溶かすことができないため、手術により摘出します。
細菌感染がある場合は、抗生剤を服用します。
猫の尿路結石の原因
尿路結石の原因として考えられるのは、栄養バランスの偏りや、水分不足などです。
水分が不足することによって、尿のpHバランスが崩れてしまいます。
これにより、尿に含まれるストルバイトやシュウ酸カルシウムが結晶化することで、尿路結石が起こるとされています。
年齢や性別に関係なく発症する可能性があります。
このほかにも以下のようなことが原因で発症するとも言われています。
冬の寒さ
人間もそうですが、寒いと水分を取る量が減ります。
そのため、尿が濃くなります。
尿が濃くなるということにより、結晶が結合しやすく結石に発展する可能性が高まります。
去勢後による肥満傾向の雄猫
雄猫は、雌猫と比べて、尿道が細く長いため、結石が詰まりやすい傾向にあります。
とくに去勢後は、ホルモン量の変化により肥満に陥る傾向にあります。
脂肪で尿道が圧迫されることにより、さらに尿道が狭くなります。
そのため、より結石が詰まりやすいリスクが高まります。
栄養バランスの偏り
過剰なたんぱく質やミネラルの摂取によって、尿路結石ができることもあります。
マグネシウム、カルシウム、リンなど結石となる成分を多く含んでいるフードは、なるべく多く食べさせないようが賢明です。
ただし、これにより栄養バランスが偏る恐れもあります。
食事コントロールをする際には、獣医師に相談することをおすすめします。
ストレス
ストレスを受けると猫は、水をあまり飲まなくなったりトイレの回数が減ると言われています。
これにより尿が濃縮されて結石のリスクが高まるというわけです。
猫のストレスの原因となるものとしては、引っ越し、近隣の工事、同居猫が増えた、トイレの位置変更などがあります。
猫の尿路結石の予防ポイント
猫の尿路結石は再発しやすい傾向にあります。
また一度発症すれば、慢性化するケースも多々あります。
再発防止のために効果的な予防方法は、食生活、水分、運動です。
猫の尿路結石予防のためのポイントは以下のとおりです。
- 新鮮な水を常に用意しておく
- 冬場は水飲み場を増やしたり、ぬるま湯を与えたりなど猫が積極的に水分を取りやすい環境を整える
- 尿の色や量、回数を日頃からこまめにチェックする
- 尿意を我慢することがないよう、常にトイレを清潔にしておく
- 結石予防のためのフードを獣医師に相談する
- 運動しやすいように環境を整え、肥満予防に努める
- 定期的に尿検査を受けるなどメディカルチェックを欠かさない
尿路結石になりやすい種類や年齢、性別とは?
アメリカン・ショートヘアやヒマラヤン、スコティッシュ・フォールドなどの純血種は、シュウ酸カルシウム結晶による尿路結石になりやすいという報告があります。
雄、雌で結石のできやすさは変わりませんが、雄の方が雌より尿道が細く長いため、雄の方が詰まりやすくなります。
年齢は特に関係ありません。
まとめ
猫の尿路結石の原因は、肥満や栄養バランスの偏り、水分不足などが挙げられますが、猫は本来、あまり水分を必要としない動物だと言われています。
そのため、犬などに比べて摂取する水分量は少なめです。
それに加え、肥満になると、より一層水飲みを億劫がる傾向にあります。
水分量が少ないと尿が濃くなり、これは尿路結石の原因にもつながります。
肥満にならないように食事量をコントロールすること、室内の運動環境を整えることが大切です。
また、猫が無理なく水分が摂取できるよう、水飲み場を増やす、冬場は飲みやすいように水をぬるま湯程度の温度に温めるなどといった工夫も必要です。
尿路結石をはじめ、愛猫の異変に早期に気づき、愛猫の健康を守るのは、飼い主さんです。
日頃から、愛猫を注意深く観察するとともに、尿路結石の予防に努めましょう。
ミネルバ動物病院では、ねこちゃんの尿路結石の手術が可能です
猫の尿管の内腔はヒトの髪の毛より細いので、非常に繊細なテクニックが必要となります。当院では手術用顕微鏡を用いて行っているため、肉眼や拡大鏡を用いた手術より丁寧な手術が可能です。
愛猫ちゃんの尿路結石について、お気軽にミネルバ動物病院までご相談ください。