猫の角膜炎とは?症状と治療法をご紹介!
猫の角膜炎とは?症状と治療法をご紹介!|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2024/05/15ケガ・病気
猫の角膜炎とは?症状と治療法をご紹介!
- 愛猫が眼を開けにくそうにしている
- 愛猫の眼に潤いがない
- 愛猫が眼を痛がる素振りをしている
あなたの愛猫に、このような心当たりはありませんか?
もし心当たりがあるようであれば、あなたのネコちゃんは、角膜炎にかかっているかもしれません。
ここでは、猫の角膜炎についてご紹介いたします。
猫の角膜炎とは?
そもそも角膜とは、どのようなものかご存知でしょうか?
角膜は、外から見える目の表面部分を覆っている透明な膜の部分を指します。
よく目をカメラのレンズに例えますが、カメラのレンズに例えると、一番手前のガラス面が、角膜です。
厚さは、約0.5ミリで、角膜上皮、角膜実質、デスメ膜、角膜内皮と呼ばれる4つの層から成り立っています。
角膜の役割は、眼球内部の網膜に光の強弱や色彩などの情報を正しく伝えるための透明さと保ちつつ、眼球を外部の刺激から守ることです。
この角膜が傷つき、炎症を起こしてしまった状態・・・それが角膜炎です。
猫の角膜炎の原因とは?
角膜炎の原因はひとつではありません。
ここでは、考えられる原因についてご紹介いたします。
外傷
猫同士ケンカをしたり、じゃれ合っているうちに、うっかり眼を傷つけてしまう場合が多くあります。
ケンカによって、爪が眼球に刺さってしまうケースもあり、その場合、角膜に大きなダメージが加わります。
爪が角膜を貫通し「角膜穿孔(かくまくせんこう)」と呼ばれる状態になることもあります。
このほかにも異物が眼に入る、眼をこすって猫自身で傷つける場合もあります。
また、シャンプー後にすすぎ残しがあり、それが原因で角膜炎を起こすケースもあるので注意が必要です。
アレルギー
猫のアトピー性皮膚炎など、アレルギーによりかゆみが眼の近くに生じたため、猫が眼の周辺や眼を掻いた際、ダメージを与えてしまうケースがあります。
このダメージにより角膜炎を起こすことがあります。
感染症
猫の角膜炎は、ウイルスや細菌、真菌などによる感染症によるものも多く見られます。
例えば、「猫カゼ」と呼ばれるものは眼にも症状が表われます。
おもに結膜炎を生じますが、そこに細菌感染も加わると、たくさんの目やにが生じます。
結膜が腫れて、感染したまま長時間経ってしまうと、眼球に結膜が癒着してしまい、症状がさらに悪化し、そこから角膜炎を発症するケースがあるのです。
これらに関与する病原体には、猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス、猫クラミジアなどがあります。
また鼻腔に病巣をつくることが多い病原体であるクリプトコッカスという真菌が眼に病変を生じさせることもあります。
その他
角膜炎は、ほかの眼の疾患の合併症として発症することもあります。
緑内障、ブドウ膜炎といった眼の疾患は、眼球内部の疾患ですが、これが合併症をともない角膜に及ぶことがあります。
このほかに、下記のようなケースもあります。
- ヘルペスウイルスを保有している猫の免疫異常による好酸球性角膜炎という角膜に強い炎症
- 自発性慢性角膜上皮欠損症(SCCEDs)という角膜上皮の障害によって、難治性の角膜炎や角膜潰瘍が起こるケース
猫の角膜炎の症状とは?
角膜の表面にある角膜上皮には、知覚を感受するセンサーである自由神経終末があります。
角膜が炎症を起こすとこのセンサーが働き、眼に強い痛みを感じます。
健康な角膜は、細胞の配列がキレイに揃っています。
表面は凹凸がなく滑らかです。
角膜炎になると、表面がざらざらします。
もっとひどくなると、角膜潰瘍(かくまくかいよう)と呼ばれる状態になります。
より症状がひどくなると角膜穿孔(かくまくせんこう)となり、眼球内部の光彩が角膜に癒着することもあります。
強い痛みがあれば、目を開けにくそうにする症状が見られるとともに、涙の量が増えます。
炎症が強いと、目が充血します。
感染症によるものであれば、目やにの増加も確認できます。
また角膜に強い炎症が生じると、角膜自体にむくみが生じるので、透明だった角膜が白く濁ったような状態になります。
角膜炎は、時間の経過とともに、症状も変化することもあります。
角膜炎が慢性化すると、角膜パンヌスが表われます。
これは、角膜に本来は見られない血管が浮き出てくる症状です。
また外傷などによる角膜炎の場合は、涙の量が増えますが、涙が正常に生成できず、乾性角膜炎を発症することもあります。
いわゆるドライアイです。
これを発症すると、角膜を守る涙が生成されず、角膜のバリア機能がなくなるので、傷つきやすくなります。
涙量が少ない場合は、注意が必要です。
これらの症状が見られたら、できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。
特に、角膜穿孔のような重症の場合、早期治療を行なわないと、失明してしまうこともあります。
猫の角膜の治療法について
角膜炎に治療の方法は、以下の3つです。
- 角膜の修復
- 炎症を抑える
- 感染のコントロール
軽症であれば、点眼薬の治療で、角膜の修復に必要な成分を補うとともに、抗炎症剤、抗生物質などを投薬します。
猫カゼのように合併症が原因の場合には、その元となっている病気の治療も並行して行ないます。
角膜潰瘍や角膜穿孔など、重症化している場合には、外科的な治療も必要となります。
角膜保護を目的とした動物用のコンタクトレンズを装着するといった治療法もあります。
乾性角結膜炎の場合には、人口涙液を定期的に点眼するという処置が取られます。
気になる猫の角膜炎の治療費は?
猫の角膜炎の治療費は、グレードによって異なります。
軽度であれば、2~3回の通院で1万円以下の治療費で収まることがほとんどですが、重症化してしまうと、外科的手術が必要となり、10万円以上かかる場合もあります。
そうなると経済的にもそうですが、猫にも負担がかかります。
なるべく早めに動物病院を受診するようにし、重症化しないように気を付けましょう。
猫の角膜炎の予防法について
猫の角膜炎を予防するためには、角膜に刺激になるようなものは猫に近づかせないことがポイントです。
屋外であれば、ほかの動物と接触することによってリスクは高くなりますし、草木で角膜を損傷する可能性もあります。
このようなことを避けるために、室内飼育を行なうことで、角膜炎の要因を減らすことができます。
猫カゼからの合併症を防ぐためには、ワクチン接種をしたり、ワクチン未接種の猫とは接触させないことで、予防することができます。
まとめ
猫の角膜炎は、痛みを生じたり、目やにが出たり、目が濁ったりと、グレードによってさまざまな症状が見られます。
症状が軽ければ、早めに治療することで重症化が防げます。
猫への負担も最小限ですみます。
しかしながら、重症化してしまうと失明の危険性もあるので、愛猫の眼に異常を関じたら、早めの受診をおすすめします。
またあらかじめ、危険要因を排除することも愛猫を守ることにつながります。