猫が下痢をしたら?症状ごとの対応についてご紹介
猫が下痢をしたら?症状ごとの対応についてご紹介|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2024/12/27ケガ・病気
猫が下痢をしたら?症状ごとの対応についてご紹介
愛猫が下痢をしたら心配ですよね。
下痢をしていてもいつも通り食事もして元気な場合と、ぐったりしている場合など症状はさまざまです。
猫の下痢の原因は、食事によるもの、ウイルスによるもの、寒さやストレス、病気など多岐にわたります。
ここでは、猫が下痢をした場合の症状別対応についてご紹介いたします。
猫の下痢の原因について
猫が下痢をした場合の原因については、次のことが考えられます。
- ストレス
- 食事
- 寒さ
- 寄生虫やウイルス
- 疾患
- 薬
それでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ストレス
猫はストレスに非常に弱いのはご存知でしょうか。
ストレスにより下痢を引き起こすことがあります。
猫がストレスだと感じるのは、次のような場合です。
- 引っ越しなど生活環境に大きな変化があったとき
- 新たに猫やその他の動物が家族に加わったとき
- ペットホテルに預けたとき
- 旅行など長時間外出したとき
上記のようなときに、猫はストレスを感じます。
ストレスが原因の場合には、新しい環境になれると下痢が治まることがあります。
環境が変化してしばらくたってもなお下痢が続く場合は、動物病院を受診した方がよいでしょう。
いずれにせよ、飼い主さんは猫が快適な環境で過ごせるようにしてあげることで、猫のストレスによる下痢はあらかじめ防ぐことができます。
食事
急にフードを変えた場合も下痢になることがあります。
また食べ過ぎによる消化吸収不良により下痢を引き起こすこともあります。
下痢が長期間続く場合には、食物アレルギーの疑いも視野に入れ、獣医師に相談してみてください。
寒さ
私たち人間は、寒くなりお腹が冷えたことにより下痢になることがあります。
猫も同じです。
季節の変わり目など、急な気温差がある時期は要注意です。
寒くなり体温が下がるとお腹も冷えてきます。
そうなると、腸内で水分の吸収ができずに体内の菌のバランスが崩れ、消化酵素の働きが弱くなってしまいます。
結果、消化不良を起こして下痢になるのです。
寄生虫・ウイルス
猫の下痢は、寄生虫やウイルスに感染したことにより引き起こされる場合もあります。
寄生虫やウイルス感染が疑われる場合には、顕微鏡や抗体検査を行ない寄生虫やウイルス感染の有無を調べます。
猫がよくかかるウイルス感染に、猫パルボウイルス、猫腸コロナウイルスなどがあります。
これらにかかると下痢になることがあります。
ウイルスは、猫から猫に感染することが多く、感染予防にはワクチン接種や完全室内飼育が効果的です。
疾患
病気にかかっていることによって下痢を引き起こしていることも考えられます。
下痢をともなう疾患として、次のものが考えられます。
- 消火器系の疾患
- 肝臓の疾患
- 膵臓の疾患
- がん
- リンパ腫
食道、胃や腸、肛門までの器官の疾患が消化器系疾患です。
猫の場合は、胃腸疾患が多く、胃腸疾患による下痢の場合は、急性胃腸炎や胃潰瘍、大腸炎などが挙げられます。
また肝臓に死亡がたまる脂肪肝、肝臓が炎症を起こしている肝炎、肝不全にかかっている場合も下痢を誘発します。
膵臓に炎症が見られる急性膵炎の場合にも激しい下痢に加え嘔吐の症状が見られます。
これら疾患が原因の下痢の場合には、様子を見ていても下痢が治ることはありません。
下痢が長く続いている、嘔吐をともなっている、元気がない、体重が減少したなどの症状が見られる場合は、疾患の可能性を疑い、早めに獣医師の診察を受けることをおすすめします。
薬
病院で処方された薬を服用している場合に、薬が合わずに副作用で下痢になることがあります。
疾患の治療などで投薬をはじめたとたん、下痢が始まった場合に考えられる原因のひとつです。
猫のこんな下痢は危ない!健康な便との比較!
ここでは、健康な猫の便と下痢の便との比較をしていきます。
猫の健康な便とは?
猫の健康な便は、次のような便です。
- 臭いが強い
- 形がしっかりしている
- 排便直後の便は猫砂がつくほど水分を含んでいる
- 食べているフードよりも濃い色でありながら、黒すぎない
- 1日1~2回の排便がある
タイプ別猫の下痢について
猫の下痢も色や形状や臭いなどさまざまです。
またどのような下痢なのか、下痢のタイプによって、様子を見ていても良い、すぐに動物病院を受診した方が良いなど異なります。
ここからは、タイプ別に見る下痢の種類について、また考えられる症状についてもご紹介いたします。
まずは便の色についてです。
黄土色
正常な便の色です。
下痢であっても元気で嘔吐などをともなっていないのであれば、1日程度様子をみていても大丈夫です。
下痢が何日も続くようであれば動物病院の受診をおすすめします。
ただし、いつもよりも黄色味が強い、色味が薄い場合は、寄生虫に感染している場合があります。
早めの受診がおすすめです。
緑色
生まれたての子猫の便の色です。
このほか、緑色の野菜をたくさん食べた場合や、胃腸障害により消火スピードが遅くなっている場合にも緑色の便が出ます。
消化時間が短く胆汁がうまく作用しなかった場合、緑色の下痢が出る場合があります。
寄生虫や感染症の疑いがありますので要注意です。
白・灰色
肝臓または膵臓に異常がみられる場合、白や灰色の便が出ます。
胆のう障害や胆石症、急性肝炎、膵炎などの発症が疑われます。
たとえ元気であっても早めに動物病院を受診してください。
赤色
赤い下痢や血液が混ざっているような色の便、ゼリー状の粘液などが付着している場合、大腸・肛門などからの出血が考えられます。
粘液が付着している場合は、大腸性下痢症、潰瘍性腸炎、直腸がん、肛門のう破裂などが考えられます。
早めの受診をおすすめします。
黒色
メレナとも呼ばれるものです。
口や鼻、胃・小腸などから出血し、直腸までに赤血球が分解されて黒くなっている可能性が考えられます。
感染症や食堂などの炎症、胃・小腸消化器異常も考えられますので、早めの受診が必要です。
また鉄分の入ったサプリメントを飲んでいる場合や、ねずみやレバーなどの肉類を食べた場合も黒色の便が出る場合があります。
下痢の形状について
ほとんど水の便、水様便の場合は、小腸性下痢症や大腸性下痢症が考えられます。
軟便であっても食欲がある場合などは、一時的な症状である可能性が高いことが多いので、しばらく様子を見ても大丈夫です。
3日以上症状が続くようであれば、動物病院を受診しましょう。
またゼリー状の粘液が付着している場合には、大腸炎の可能性があります。
猫はもともと大腸から粘液を分泌していますが、炎症により分泌が促進された状態であると考えられます。
元気で食欲があるのであれば、様子を見ても大丈夫です。
嘔吐症状を併発している場合、便に血液が付いている場合は、早めに受診してください。
下痢の臭いについて
臭いがもともと強いのが猫の便です。
しかしながらいつもより臭いがきつい場合は、硫化水素の増加によるもので、慢性腸炎や感染症の疑いがあります。
一方、腐敗臭やすっぱい臭いがする場合は、腸炎が疑われます。
薬品のようなにおい、血液の臭いの場合も、病気などが疑われます。
これらの場合には、早めに受診しましょう。
まとめ
猫が下痢をしている場合、下痢のタイプによって緊急を要するものか、少し様子を見てもよいかが異なります。
家で様子を見る際には、いつも食べているドライフードを水でふやかして消化しやすい状態にして与えるとともに、いつもの量より少し少ない量にするなど、腸を休ませてあげることが必要です。
猫の食欲がない場合は、無理に食事を与えることはせず、下痢により水分が足りないようであれば、水分は摂取させるようにしましょう。
いずれにせよ、絶食や絶飲は獣医師の指導の元行なうようにしてください。
愛猫が下痢をしている際には、ぜひ本記事を参考にしていただきければ幸いです。