犬がぶどうを食べた!中毒になる量はどのぐらい?
犬がぶどうを食べた!中毒になる量はどのぐらい?|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2024/11/10飼い方・しつけ
犬がぶどうを食べた!中毒になる量はどのぐらい?
犬が食べると危険な食べ物はいくつかありますが、ぶどうもそのなかのひとつです。
どうして犬がぶどうを食べるとよくないのか・・・
犬がぶどうを食べるとどうなるのか・・・
犬がぶどうを口にしてしまうとぶどう中毒に陥ってしまいます。
ここでは、ぶどう中毒の症状、その治療法などを通じて、ぶどうが犬にとって危険な食べ物であるということについてご説明いたします。
犬がぶどうを食べてはいけないのはどうして?
2001年にアメリカの研究者によって、犬のぶどう中毒が報告されました。
犬43頭が、ぶどうや干しぶどうを摂取したあとに、腎機能障害を発症し、ほとんどの犬が急性腎不全で死亡しました。
日本でも同じような症例が報告されています。
ぶどう中毒の原因物質として考えられるのはいくつかあります。
- 農薬
- カビ毒
- ぶどう由来の未知の成分
などです。
また特異体質が原因であるといったこともいわれていますが、未だはっきりとした原因は、分かっていません。
犬がぶどうを食べるとどうなるの?
犬がぶどうを食べたあと12~24時間で、まずは胃の不調が表われます。
嘔吐や食欲不振、下痢、無気力などの症状がみられるようになります。
そして摂取後、24~48時間で、急性腎障害の症状が表われます。
急性腎障害の兆候として、次のような症状があります。
- 継続的な胃腸障害
- 尿毒症(アンモニア臭)の息
- 腹痛
- 過度ののどの渇き
- 過度の排尿
- 脱水
- 進行性の無気力
これらの症状がみられた際に、病院で血液検査をしてみると、腎機能の指標となるBUN(尿素窒素)、CRE(クレアチニン)の急激な上昇、Ca(カルシウム)やP(リン)の上昇が認められます。
そして上記の兆候のあと、徐々に腎臓が機能しなくなっていきます。
それとともに、尿の生成が停止します。
腎臓は、体のなかにたまった老廃物や余分な水分を外に出して、血液をきれいにする器官です。
尿が出ないということは、体内の老廃物を濾過することができないということになります。
その結果、血流中に毒素が蓄積していきます。
そして、やがては死に至ってしまうのです。
ぶどう中毒になる量はどのぐらい?
それでは、どのぐらいの量のぶどうを摂取すれば、ぶどう中毒になるのでしょうか?
研究者によれば、ぶどうは犬の体重1kgあたり3~32g、レーズンであれば、11~30gといわれています。
体重3kgの犬であれば、ぶどう2~3粒、レーズン50粒という計算になります。
そうはいうものの1粒でも中毒を起こしてしまう犬もいるので、全く与えないほうが良いといえます。
また生のぶどうだけでなく、ぶどうジュースやワイン、クッキーやパンに入っているレーズンにも要注意です。
うっかり下に落としたまま放置したり、お皿に残っていたものを犬が食べてしまったりというケースもありますので、気を付けましょう。
犬のぶどう中毒の治療法は?
犬がぶどうを口にしてしまったら、まずは早目に動物病院を受診しましょう。
摂取後、いかに毒素の吸収を阻止するか、腎臓へのダメージを最小限に抑えることができるかが、治療のポイントです。
治療の方法としては、
- 胃を空っぽにすること
- 医療グレードの活性炭を投与すること
です。
ぶどうは、胃のなかに長時間留まります。
そのため、摂取後数時間は胃を空っぽにする必要があります。
また腎臓障害を予防するために、静脈内輸血、吐き気止め薬などの投与が行なわれる場合もあります。
ぶどう中毒の症状に、腎臓損傷がありますが、これは摂取後最初に2日以内にもっとも進行するといわれています。
摂取後なるべく早く動物病院を受診し、獣医師が腎機能をモニタリングしながら、48時間点滴をし続けるなどの治療が行われます。
犬のぶどう中毒は治療で治るの?
どの程度摂取したのか、摂取後から治療までの時間、既存の腎臓疾患の有無、治療に対する体の反応などによっても異なりますが、ぶどうを口にした時点で症状が出る前に治療を始めた場合、予後が良好である可能性は高まります。
ただし、腎不全に陥り、尿が生成されなくなってしまった場合、腎臓の再生能力や自己修復能力はほとんどないため、生存率は低くなります。
運よく、腎臓損傷から生き延びたとしても、慢性腎臓病を発症する可能性があるということを知っておいてください。
まとめ
愛犬が、誤ってぶどうやレーズンを口にしてしまった場合、症状が出ていなくても早めに動物病院を受診しましょう。
受診の際には、次のことを獣医師に伝えるようにしてください。
- 食べた時間
- ぶどうの種類や状態、量
嘔吐や下痢、元気がないなどといった症状がみられた場合には、特に急いで受診をしてください。
急性腎不全を起こしてしまっている場合、受診が遅れてしまうと、命に関わるかもしれません。
ぶどうのほかにもネギやアボカド、ナッツ類、チョコレートなど、犬が口にすると中毒を引き起こす食べ物は多々あります。
飼い主さんが食べているのを可愛い様子でおねだりしてきたから、ついあげてしまったという経験がある方も多いと思いますが、人間が食べておいしいと感じるものでも犬が食べると命の危険にさらされるという食べ物は多いです。
犬は喋れない分、飼い主さんは常に気を付けてあげなければなりません。
愛犬を守るためにも、犬にとって危険な食べ物に関する知識をしっかりと身に付け、犬にとって危険な食べ物はあげないようにしましょう。