犬・猫の外耳炎とは?症状や予防法、受診の目安について解説
犬・猫の外耳炎とは?症状や予防法、受診の目安について解説|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2025/07/30ケガ・病気
犬・猫の外耳炎とは?症状や予防法、受診の目安について解説

犬や猫は、人間よりはるかに優れた聴覚や嗅覚を持っています。
そういった意味で、犬や猫にとって大切な耳。
しかしながら、耳の病気にもなりやすい構造をしています。
ここでは、犬や猫がなりやすい「外耳炎」について解説いたします。
犬・猫の「外耳炎」ってどんな病気?
「外耳炎」とは、耳介(じかい)と呼ばれる外に張り出て飛び出している部分から耳の奥へと続く「耳道」が炎症を起こす病気のことです。
犬・猫の外耳炎の症状とは?
それでは、外耳炎の症状について解説いたします。
外耳炎の症状はおもに4つです。
①耳のかゆみ
外耳炎になると、下記のような耳のかゆみを気にする様子が見受けられます。
- 耳を床に擦りつける
- 脚で耳をかく
- 頭を振る、首を傾げる
②耳垢の異常
外耳炎になると、耳垢が増えます。
また外耳炎が進行すると、イヤな臭いを伴った耳だれがあることも・・・
耳からいつもと違う臭いがしたら要注意です。
③耳の腫れ・膿
外耳炎は、耳道が炎症を起こす病気であるため、耳の腫れや膿が出ているような場合は、外耳炎を起こしている可能性があります。
④耳が聞こえにくい
耳垢が増えたり、耳の腫れ、膿などにより、耳道がふさがれてしまうと、耳が聞こえにくくなることがあります。
- 普段なら少しの物音にも反応するのにあまりしなくなった
- 呼んでもなかなか反応しない
- 大きな音にも気づかない
外耳炎かなと思ったら。動物病院受診の目安
上記のような症状が見られるようであれば、外耳炎にかかっている可能性があります。
初期の頃は、①のように耳を気にする仕草が見られます。
この仕草を見逃してしまい、病気が進んでしまうと、耳に触れられるのを嫌がったり、怒ったりするようになります。
病気が進行すると、②③④のような症状が見られるようになります。
このような症状が見られると、かなり外耳炎が進んでいる可能性があります。
早めの動物病院での受診をおすすめします。
外耳炎の原因とは?

外耳炎の原因は、おもに6つあります。
①細菌感染・カビの繁殖
細菌に感染したり、カビの繁殖から、外耳炎を起こすことがあります。
ねっとりしている耳垢の犬や猫の場合、耳道の湿度が高くなります。
そのため、細菌に感染したり、カビが繁殖しやすくなります。
特に夏場に悪化することが多いので要注意です。
②寄生虫
ダニやノミといった寄生虫も外耳炎の原因のひとつです。
犬や猫の耳に寄生するダニは「耳ダニ(ミミヒゼンダニ)」と呼ばれています。
体長0.3mm前後という目視で確認しにくい極小のダニです。
また蚊に刺されたことが原因で外耳炎になることもあります。
③アレルギー
アレルギーも外耳炎の原因のひとつです。
アトピー性皮膚炎などのアレルギーを持っている犬は、免疫が低下しやすいので、それにより外耳炎だけでなく、さまざまな病気を引き起こしやすいと言われています。
④環境
高温多湿の環境が原因で外耳炎になることもあります。
梅雨時期や、湿気が多い部屋での飼育などは気をつけなければなりません。
⑤外的要因
犬や猫の耳掃除をご自身で行なっている飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
その際に、綿棒などを使って取っている方は要注意です。
犬や猫の耳の奥に溜まった耳垢を綿棒で取ることは困難です。
鼓膜に到達するまで綿棒を入れてしまい、傷つけてしまったことにより外耳炎を引き起こすことがあります。
耳掃除は、獣医師にお願いするのが賢明です。
また何らかの異物が耳のなかに入ってしまい、外耳炎が発症することもあります。
- 抜けた毛
- 植物の小さな種
- シャンプー剤の残り
このようなものも外耳炎を引き起こす原因となりますので要注意です。
⑥できもの
耳道にできものができている場合があります。
ポリープや腫瘍などができ、それにより耳道が塞がれている状態から外耳炎を引き起こす、もしくは外耳炎のような症状が見られる場合もあります。
外耳炎になりやすいのは犬?猫?
外耳炎は、犬も猫もなりやすい耳の病気です。
共通しているのは、垂れ耳、短頭種、耳毛が多い犬種や猫種に多いということです。
外耳炎になりやすい犬種
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- ゴールデン・ラブラドール レトリバー
- キャバリア
- シーズー
- ミニチュア・ダックスフント
- マルチーズ
- フレンチブルドッグ
- パグ
- 柴犬
- 仔犬
外耳炎になりやすい猫種
- スコティッシュフォールド
- アメリカンカール
- 仔猫
- 野外で生活している猫
外耳炎の予防法とは?
外耳炎はおもに、耳を洗浄したり、点耳薬や内服薬で治療します。
命に関わるような病気ではありませんが、病気が進行してしまうと、治療も長引いてしまいます。
また何より、犬や猫への負担が大きくなります。
かゆみを抱えて毎日過ごすのはかわいそうですよね。
犬や猫にそのような思いをさせないように、しっかりと予防してあげましょう。
耳のお手入れを定期的に行ない、耳を清潔にしてあげることが一番の外耳炎予防になります。
1ヶ月に一回程度正しいやり方でやることが重要です。
前述した綿棒での耳掃除はやめましょう。
耳の入り口付近の耳介の汚れを、耳洗浄剤を含ませたコットンで優しく拭いてあげましょう。
決して奥の方まで入れないように・・・
奥の方の耳垢が気になる場合は、自分でせずに獣医師に相談してください。
日頃から清潔に保つことである程度、外耳炎を予防することができます。
まとめ
外耳炎は、かゆかったり、痛かったりと、犬や猫にとっては苦痛です。
しかしながら、犬や猫は、その痛みやかゆみを訴えることはできません。
飼い主さんが、犬や猫からのSOSを仕草や様子などから汲み取り、早めに対処してあげることが重要です。
また間違った方法での耳掃除にも注意が必要です。
清潔に保って外耳炎を防ぐつもりが、逆に外耳炎を引き起こすこともあります。
耳掃除は獣医師に任せて、耳介を優しく拭き取るといったことで耳の清潔を保ってあげましょう。