犬の熱中症の見分け方と応急処置の方法とは?
犬の熱中症の見分け方と応急処置の方法とは?|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2025/08/20ケガ・病気
犬の熱中症の見分け方と応急処置の方法とは?

犬も私たち人間と同じく熱中症になります。
熱中症になれば、体温が上がり、脱水症状になります。
これにより血液が濃縮し、血圧も低下します。
重症化すれば、命を落とすこともある危険な病気です。
大切な愛犬がそのようなことにならないよう、飼い主さんは、熱中症に関する正しい知識をつけておくことが大切です。
また万が一熱中症になってしまったときの応急処置の方法についても知っておくと良いでしょう。
ここでは、犬の熱中症の症状と、応急処置の方法についてご紹介いたします。
こんな症状が見られたら、熱中症かも!?
「熱中症が怖いことは分かったけど、熱中症になったらどんな症状になるの?」
このように思っている方に、ここからは熱中症の症状を、段階ごとにご紹介いたします。
熱中症の初期症状
- 呼吸が荒い(通常のパンティングよりも速いスピードで「ハアハア」と息をしている)
- 心拍数が早い
- 落ち着きがない
- よだれが多い
- 水を飲みに行かない
- 食欲がない
- ぼーっとしている
- フラフラしている
- ぐったりしている
- 元気がない
このような症状が見られたら、熱中症の可能性があります。
とは言え、判断に迷うこともあるかもしれません。
そんなときは、以下のような心当たりがないかも併せて考えてみると良いでしょう。
- 暑いところでずっといた
- 屋外で興奮状態だった
- いつもよりたくさん運動した
- 暑いなか、車など密閉された空間にいた
熱中症が重症化した症状
次のような症状が見られる場合は、熱中症がかなり重症化していると思われます。
- 嘔吐や下痢が見られる
- 吐いたもの、排泄物に血が混じっている
- 震えている
- 歯茎が白くなっていたり、舌や粘膜が青紫になっている(チアノーゼ)
- 意識がない
- 呼びかけに反応しない
上記のような症状が見られたら、一刻を争う状態です。
すぐに動物病院を受診しましょう。
熱中症の危険性!

熱中症は、初期症状が現れて時間が経ち、重症化すると命を落とすことがあります。
命を落とすことは免れても、対処が遅れると、内臓や脳に障害が残ります。
熱中症は、初期症状が現れて、回復したように見えることもあります。
「治った」と安心していると、数日後、体に機能障害が現れることもある怖い病気です。
熱中症の初期症状が見られたあと、回復したように見えても、獣医師に相談することをお勧めします。
見えないところで熱中症の症状が進んでいることもあります。
熱中症の症状が見られたら、たとえ回復したとしても、獣医師に相談しましょう。
犬が熱中症になったらどうする?応急処置について
愛犬に上記のような熱中症の症状が現れたら・・・
きっと飼い主さんは慌てることでしょう。
でもそんなときこそ落ち着いて、早めの応急処置が大切です。
応急処置のポイントは、3つです。
風・水or氷・日陰です。
日陰で犬の体に水をかける、もしくは、太い血管のある部分(頭・首筋・喉・脇の下・お腹・内もも)に氷のうを当てる、そのうえで風を当てます。
まずは、体を冷やすことを意識してください。
それでは、もっと具体的に見ていきましょう。
・屋外の場合、まずは日陰で涼しく、換気の良い場所に連れていきます。
・自分で水を飲める場合は、水を飲ませてください。
自分で飲めない場合には、無理に飲まさないようにしてください。
無理に飲ませると、誤嚥性肺炎を起こす危険性があります。
・犬の体に水をかけて、風を当てましょう。
・氷を水をビニール袋に入れた氷のうや、保冷剤で太い血管がある箇所を冷やしましょう。
頭・首筋・喉・脇の下・お腹・内ももを冷やしましょう。
ただし冷やしすぎには注意が必要です。
体が冷えすぎると、今度は血管が収縮したり、「シバリング」と呼ばれる体の震えが起こ
ります。
屋外で氷や保冷剤がない場合は、タオルがあれば水を含ませて犬に巻いてあげたうえで風を当てましょう。
上記に挙げたような応急処置を行なったうえで、動物病院を受診しましょう。
熱中症を防ぐには?
屋内・屋外問わず、こまめな水分補給は重要です。
水飲み場を何ヶ所かに分けておいてあげると、水をこぼして飲めなくなったということもなくなります。
それでは、ここからは熱中症予防についてご紹介いたします。
室内の環境について
犬に適した環境は、室温は25〜28℃、湿度は45〜65%と言われています。
必要に応じてエアコンやサーキュレーターなどを使用し、室温の換気にも気を配りましょう。
エアコンの設定温度を下げすぎるのもNGです。
冷気は、犬がいる下の方に溜まります。
冷えすぎて体調不良を起こす恐れもありますので、注意が必要です。
冷却マットなど、犬は暑くなったら体を冷ませるようなひんやりグッズも用意しておくと良いでしょう。
屋外について
散歩の際も注意が必要です。
早朝や夜など、比較的涼しい時間帯を選んで散歩するようにしましょう。
暑い夏のアスファルトは50〜60℃にもなると言われています。
地面に近いところにいる犬にダイレクトに熱さが伝わります。
また、犬は裸足です。
焼けたアスファルトのうえを歩かせると火傷してしまいます。
アスファルトが熱い時間帯の散歩はやめましょう。
散歩の際には、水を多めに持っていきましょう。
万が一熱中症になったときに、水をかけることができます。
また扇子やうちわなども持参すると良いでしょう。
また外飼いの場合には、以下の点に注意するとよいでしょう。
- 犬小屋を日陰に置く(日陰がない場合は、タープやすだれなどで日陰をつくりましょう)
- 犬小屋の通気性をよくする
- アスファルトやコンクリートのうえに犬小屋を置かない
- 2〜3時間ごとに様子を見る
- こまめに犬小屋の周辺に打ち水をする
- 可能であれば、犬を室内に入れてあげる
まとめ
犬の熱中症は、重症化すると命を落とすこともあります。
ただし、熱中症は、飼い主さんの事前の対策である程度防ぐことができます。
熱中症対策を行なうとともに、もし熱中症になったら・・・と考えて日頃から知識を深めておくことも大切です。
万が一、愛犬が熱中症になったら、ここでご紹介した応急処置をしつつ、速やかに動物病院を受診しましょう。