猫の股関節形成不全ってどんな病気?症状や原因、治療法について解説
猫の股関節形成不全ってどんな病気?症状や原因、治療法について解説|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2025/04/25ケガ・病気
猫の股関節形成不全ってどんな病気?症状や原因、治療法について解説

猫の股関節形成不全ってどんな病気かご存知でしょうか?
ここでは、猫の股関節形成不全の病気について、その症状や原因、治療法について解説いたします。
猫の股関節形成不全とはどんな病気?
犬の股関節形成不全は聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
実は、股関節形成不全は、猫にも見られる病気なのです。
猫の股関節形成不全は、先天的に股関節の形状に異常が見られる状態のことを指します。
股関節は、骨盤のくぼみ(寛骨臼)と大腿骨の先端(大腿骨頭)から成る関節です。
寛骨臼のくぼみが浅くなるため、大腿骨頭がしっかりと収まらず、関節が不安定な状態となり股関節が脱臼しやすくなります。
その結果、股関節周辺の軟骨や靭帯が損傷し、骨関節炎に進行することがあるのです。
猫の股関節形成不全の原因は?
前項で、猫の股関節形成不全は、先天的に異常が見られると申し上げたように、原因は遺伝だと言えます。
ただし、猫種によってなりやすい猫となりにくい猫がいます。
一般的に、下記に挙げた猫種が比較的なりやすいと言われています。
- ヒマラヤン
- ペルシャ
- メインクーン
- デボンレックス
猫の股関節形成不全の原因は遺伝ですが、肥満や過剰な運動などが、症状の進行に影響するとも考えられています。
太り過ぎ、運動のさせ過ぎには注意しましょう。
猫の股関節形成不全の症状は?

猫の股関節形成不全は、おもに成長期に発症します。
愛猫に以下のような症状は見られないかチェックしてみてください。
- うさぎ跳びのように同時に両足で同時に地面を蹴るように歩いている
- モンローウォークのように腰を左右に振りながら歩いている
- 横座りをしている
- 股関節が脱臼している
- 足を引きずって歩いている
- ジャンプする際に躊躇している
- あまり動きたがらない
いかがでしたか?
上記に当てはまるものはありませんでしたか?
もしひとつでも当てはまる症状があれば、早めに動物病院を受診してください。
うさぎ跳びのような歩行は、股関節形成不全の典型的な症状です。
また横座りをしているのは、痛みがあるためしっかり座れないと思われます。
股関節形成不全は、命に関わる病気ではありませんが、痛みをともなう病気です。
愛する猫ちゃんのためにも、上記のような気になる症状が見られたら、早めに受診するようにしましょう。
股関節形成不全はどんな検査をするの?
股関節形成不全かどうかの診断は、レントゲン検査で行なうことがほとんどです。
ただしレントゲン検査では、うまく映らない場合があり診断が困難なこともあるので、CTやMRIなどを使用して診断する動物病院もあります。
股関節形成不全の治療法は?
股関節形成不全の治療は、症状によって、また猫の体格などによっても異なります。
症状が軽い場合には、痛みを抑えるために薬を投与したり、体重管理を行なったりといった内科的治療が多く行われます。
症状が重く、内科的治療では難しいと診断された場合には、大腿骨頭切除術といった外科的治療が行なわれることもあります。
まだ若い猫ちゃんで、早期に股関節形成不全と診断された場合には、症状の進行を防ぐために手術をすすめられることがあります。
股関節形成不全の予防法は?飼い主さんが気を付けることは?
股関節形成不全は、前述のように遺伝的要因であるため、あらかじめ予防することは不可能です。
しかしながら、症状の悪化を抑えることはできます。
若いうちから定期的に獣医師のチェックを受けましょう。
そうすることで、早期に病気を発見することができ、早めに対処することが可能になります。
また日頃から適切な体重管理を行なうことで、たとえ症状が表れたとしても病気の進行を緩やかにすることができます。
まとめ
猫の股関節形成不全は、遺伝による先天的なものが原因であるため、飼い主さんが気をつけて予防することができない病気です。
命に関わる病気ではないにしろ、痛みをともなう病気であるため、愛猫が痛がるそぶりを見せたり、足を引きずっている、モンローウォークやうさぎ跳びのような歩き方をしている、横座りをしているなど、いつもと異なる様子を見せた場合には、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
股関節形成不全の症状は、一見すると、可愛く見えたりします。
初期症状の場合には、症状が見られても猫に痛みを感じている様子が見られることはほぼないため、これらの症状を目にしても、「可愛い」と笑って放置してしまう飼い主さんもいるかもしれません。
たとえ、痛いようなそぶりを見せたとしてもほんの一瞬で、そのあとは全く痛みがないように見えたりするので、気がつかない飼い主さんもいます。
しかしながら、放っておくとそのうち病気は進行し、痛みを感じる時間も長くなってきます。
そのうち痛みもともなってくるため、足をかばうそぶりを見せるようになります。
このような愛猫の様子をこまめに観察することはもちろんですが、猫の病気について正確な知識を持つことも飼い主として欠かせない重要な使命であると言えます。
家族である愛猫と飼い主さんが毎日楽しく快適に暮らせるために、飼い主さんができることは、愛猫をよく観察すること、猫の病気についての知識を深めることです。
この記事が、猫の病気の知識を深めるきっかけになっていただければ幸いです。