猫の甲状腺機能亢進症とは どんな病気?治療方法について解説
猫の甲状腺機能亢進症とは どんな病気?治療方法について解説|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2024/04/27ケガ・病気
猫の甲状腺機能亢進症とは どんな病気?治療方法について解説
愛猫家の皆さま、 「甲状腺機能亢進症」という猫の病気をご存知でしょうか?
猫が高齢になると発症しやすい病気のひとつです。
もし愛猫が「甲状腺機能亢進症」と診断されたら、どうすれば良いのでしょうか?
ここでは、「甲状腺機能亢進症」の症状や治療法について、詳しくご紹介したいと思います。
「甲状腺機能亢進症」とはどんな病気?
甲状腺は、頸のあたりの甲状軟骨のすぐ下にある小さな組織で左右に1つずつあります。
甲状腺は、身体の代謝を活発にするホルモンを分泌する働きがあります。
片側または両側の甲状腺組織の過形成や腫瘍化などによってこの甲状腺が大きくなり、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気が「甲状腺機能亢進症」です。
「甲状腺機能亢進症」のおもな症状
「甲状腺機能亢進症」になると、体の組織の代謝が活発化することにより、以下のような症状が見られるようになります。
- 行動が活発になり、落ち着きがなくなる
- 攻撃的になる
- いつもより甘えてくる
- 多飲多尿
- 食欲が異常に増加するが、痩せてくる
- 脱毛が見られ、毛のつやがなくなる
- 頻脈、心雑音、心肥大
- 呼吸が速くなる
- 嘔吐、下痢
甲状腺機能亢進症になると、上記のような症状が見られるようになります。
一見すると元気があり活発なので、飼い主さんも病気だとは気づかないことが多いため、病気だと気付かず、知らないうちに病気が進行していたということも多くあります。
病気が進行すると、
- 体力の低下
- 食欲不振
- 嘔吐・下痢
などの症状が繰り返し見られるようになります。
猫の甲状腺機能亢進症の原因は?
甲状腺機能亢進症の原因は、甲状腺の細胞が異常に増えることです。
分かりやすい例を挙げると、人間でいうところの「のどぼとけ」の両サイドを触ると大きく腫れていることがあります。
多くは良性の腫瘍ですが、2%未満は悪性とされています。
猫の甲状腺機能亢進症の治療法は?
それでは、甲状腺機能亢進症の治療についてご紹介しましょう。
ポイントは、甲状腺ホルモンの分泌を抑える治療と、その他の併発疾患を併せて治療することです。
甲状腺ホルモンの分泌を抑えるための治療法としては、
- 内服薬
- 食事療法
- 甲状腺を摘出する手術
この3つがあります。
投薬治療について
それでは、投薬治療について見ていきましょう。
処方されるのは、甲状腺ホルモンの合成を抑える抗甲状腺薬です。
一度投薬を始めると、一生にわたって投薬が必要となります。
また投薬をはじめる前には、薬の量を確認するために、血液検査を行ないます。
投薬前後で甲状腺ホルモン濃度の測定を行ない、投薬量を確認します。
投与量が多すぎると、甲状腺機能低下症を引き起こしてしまう可能性があるので、定期的に適正量が投与されているかどうか、血液検査を行ないチェックする必要があります。
また稀に下記のような副作用が見られることがあります。
- 食欲不振
- 嘔吐・下痢
- かゆみなどの皮膚炎
- 血小板の減少
- 肝毒性
これらの症状が見られたら、すぐに獣医師に相談してください。
投薬治療を決めたら、しっかりと通院を継続していくことが大切です。
食事療法とは?
結論から言うと、食事だけで甲状腺ホルモンの数値を改善することは難しいです。
非常に経度な場合や、投薬治療と併せて行われることはあります。
食事療法のポイントは、甲状腺ホルモンの材料となるヨウ素を抑える療法食を与えることです。
これにより、甲状腺ホルモンの産生が減り、ホルモン濃度が下がって症状を抑えることができる場合もあります。
しかしながら猫ちゃんによっては、療法食を食べない子もいます。
また療法食以外のフードやおやつを制限しなければなりません。
食事療法においては、この点をクリアすることが大切です。
甲状腺機能亢進症が併発する病気について
甲状腺機能亢進症は、進行するとほかの病気も併発する可能性があります。
例えば、心筋障害による心疾患や腎不全などです。
甲状腺機能亢進症の場合には、甲状腺ホルモンの作用によって循環血流量が増加します。
これにより腎不全の発見が遅れるケースがあります。
甲状腺治療を行ない、症状が緩和された結果、腎不全の症状が表面化し発覚するということも多々あります。
このように甲状腺機能亢進症のせいで、ほかの病気が分かりにくいことがあるので、外科的治療を行なうとした場合でも、まずは内科的治療を行ない、腎不全が隠れていないかどうかを確認することが大切です。
高齢猫の場合、甲状腺機能亢進症が疑われる場合には、他の病気も併発している場合が多々あります。
まずは内科的治療を行ない、甲状腺機能亢進症以外の病気がないか調べる必要があります。
まとめ
愛猫が高齢になったら、病気の心配も増えてきます。
もし愛猫が甲状腺亢進症だと診断されたら、きっと飼い主さんは心配で心配でたまらないでしょう。
そんなときに、飼い主さんができること。
まずは、愛猫のいつもと違う様子を早めに発見することです。
そのためには、日頃から愛猫としっかりと関わり、愛猫の少しの変化に気づけるようにしておくことが大切です。
また、もし異変を感じたら、早めに動物病院で受診することです。
そして、愛猫がもし甲状腺亢進症だと診断されたら、病気のことについて理解を深め、愛猫にとって何が必要なのか知り実践することが重要です。
あなたの大切な愛猫のために、飼い主さんができることを精一杯してあげましょう!