うちの愛猫、膀胱炎かも?早期発見するための方法!
うちの愛猫、膀胱炎かも?早期発見するための方法!|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2024/01/27ケガ・病気
うちの愛猫、膀胱炎かも?早期発見するための方法!
犬にも猫にも膀胱炎はありますが、猫の場合は犬と比べて、細菌性の単純膀胱炎は少なく、原因不明の猫下部尿路疾患(突発性膀胱炎)が多いのが特徴です。
猫の膀胱炎は、放っておくと腎臓疾患につながる可能性があります。
猫の膀胱炎は、決して軽視できない病気なのです。
ここでは、愛猫が膀胱炎から重症を引き起こさないために、飼い主さんができる早期発見のために必要なポイントをご紹介いたします。
膀胱炎とはどんな病気?
膀胱炎は、簡単に説明すると排尿障害です。
症状が進めば、腎臓病や尿毒症などといった重大な病気を引き起こす可能性があります。
膀胱炎の程度によっても症状は異なりますが、オスの場合は特に注意が必要です。
尿道閉塞がある場合は症状が激しく、応急処置が必要となります。
膀胱炎の重症化
膀胱炎を治療せず放っておくと、下記のように重篤化することがあります。
- 腎不全
腎臓機能が働かないため、血液中に老廃物がたまってしまいます。
一旦腎臓組織に障害が生じると元に戻ることはないため、命に関わる病気です。 - 尿毒症
腎不全が進行すれば、尿が排泄できず体内に毒素がたまってしまいます。
嘔吐、食欲不振、ぐったりしているなどの症状があれば、大変危険な状態です。
こんな症状は要注意!
膀胱炎が疑われる症状についてご紹介いたします。
以下のような症状が見られたら要注意です。
できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
尿に関する症状
尿に関して下記のような様子が見られると要注意です。
- 頻繁にトイレに行く
- 1回の尿の量がいつもより少ない
- 尿が漏れている
- 排尿時に痛がっている様子が見られる
- いつもはトイレで排尿するのに、トイレ以外で粗相する
- トイレに行っても尿が出ない
- 半日以上排尿できていない
- 尿のにおいがきつい
- 尿の色が白く濁っている
- 尿がピンクや血が混じったような赤色をしている
- 排泄後の尿がキラキラ光って見える
膀胱炎を早期発見するためには、日頃から猫の様子に気を配る必要があります。
特に、トイレでの様子や排泄物のチェックは欠かさずしましょう。
尿に関する異常については、尿意をもよおしている様子なのに、トイレに行っても尿が出ないという症状があります。
また尿は出ても量が極端に少なく、尿意が改善されないため、何度もトイレに行くといった傾向が見られます。
尿道が細いオスの場合、尿道が結晶状の結石や炎症による分泌物で詰まったことにより、尿が出ない状態になっていることもあります。
排泄物にも注意が必要です。
気になる症状があれば、トイレにティッシュを敷いておきましょう。
そうすれば、尿の色がよく分かります。
また尿結石を確認する方法としては、尿がキラキラ光って見えるかどうか確認してみましょう。
猫の尿結石は、細かい結晶状であることが多いので、尿がキラキラ光って見えるようであれば、尿結石の可能性があります。
これらの症状が確認できたら、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
猫の様子
猫の様子がいつもと違うと感じるときも注意が必要です。
特に膀胱炎の疑いがある場合は、下記のような様子を見せることがあります。
- 頻繁に陰部を舐めている
- 陰部をよく気にする様子が見られる
- うろうろと歩き回ったりしている
- 落ち着きがない
上記のような様子が見られる場合は、陰部に痛みや不快感があると考えられます。
このような場合も、早めに動物病院を受診しましょう。
膀胱炎の原因
猫の膀胱炎はどうして起こるのでしょうか。
細菌や結石による膀胱炎が原因のこともありますが、猫の場合は、原因不明の疾患である可能性もあります。
細菌による感染
ブドウ球菌や大腸菌などによる細菌感染が、炎症を引き起こすことがありますが、犬に比べて猫は、細菌感染による事例は比較的少ないとされています。
膀胱結石・尿道結石
結石や結晶ができる要因は、食事や遺伝的体質などさまざまです。
これによりできた結石や結晶が、膀胱の粘膜を傷つけることにより炎症を引き起こします。
一番多いのは、ストルバイトと呼ばれる結晶状の結石です。
これが尿道に詰まる疾患を「尿道閉塞(尿道結石)」といい、緊急処置が必要となります。
尿が3日間以上ない場合は、重篤な腎不全を招き、死に至ることもあります。
原因不明の猫下部尿路疾患
上記に挙げた膀胱炎の症状がみられたため、病院を受診し検査をしたけれども原因が分からない、ということがあります。
この場合、「突発性膀胱炎」と診断されます。
ストレスが原因であると考えられているので、抗うつ剤で症状が改善することもありますが、現在のところ、これといった治療方法は見つかっていません。
比較的若い猫に多いとされています。
膀胱炎の治療について
愛猫が膀胱炎を診断された場合、どのような治療が考えられるのでしょうか。
膀胱炎の治療についてご紹介いたします。
細菌性膀胱炎の治療
細菌性の場合には、抗生物質や消炎剤の投与を行ないます。
結石・結晶が原因の膀胱炎の治療
薬で結石や結晶を溶かす方法があります。
また結晶状の結石が膀胱に多くたまっている場合には、尿量を増やすための輸液を点滴したり皮下投与することもあります。
このほか、療法食で治療する方法や、結石が大きいときには手術を行なうこともあります。
突発性膀胱炎(原因不明の場合)
痛みがある場合は、痛み止めを投与するなど対症療法を行ないます。
原因がストレスであることも考えられるので、ストレスとなっているものを突き止めて排除することも大切です。
まとめ
膀胱炎の治療は、原因によって異なりますが、食生活や水分の与え方を見直す必要があります。
ポイントは、新鮮な水を好きなときに好きなだけ飲めるようにすることです。
家のいたるところに、給水スポットをつくるなどといった対策を取るのも良いでしょう。
ストレスによる膀胱炎を防ぐためには、トイレを清潔に保つなどといった生活環境の見直しも必須です。
膀胱炎は、猫の疾患としては特別なものではありませんが、重症化すると命を落としかねません。
飼い主さんは、日頃から愛猫の様子を気にかけ、排泄物のチェックなども怠らないようにしましょう。