猫FIP(伝染性腹膜炎)とは?症状・治療・予防法などを解説
猫FIP(伝染性腹膜炎)とは?症状・治療・予防法などを解説|川西市のミネルバ動物病院【犬猫専門】整形外科、手術
2026/02/27ケガ・病気
猫FIP(伝染性腹膜炎)とは?症状・治療・予防法などを解説
1歳未満の子猫がよく発症するというFIPをご存知でしょうか?
正式名称を猫伝染性腹膜炎といいます。
子猫にとっては、命に関わる重篤な疾患です。
発症すると、食欲がなくなり、だんだんと動きが悪くなり、熱が出たり、体重が減少したりします。
そして、発症して早ければ数日、1ヶ月以内に亡くなることも少なくない致死率の高い疾患です。
ここでは、猫愛好家の皆さんにはぜひ知っておいて欲しい猫のFIP(猫伝染性腹膜炎)についてご紹介いたします。
FIP(猫伝染性腹膜炎)の原因とは?
FIP(猫伝染性腹膜炎)の原因は、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)により引き起こされるウイルス性感染症だと言われています。
そもそも猫伝染性腹膜炎ウイルスとは、もとは 猫腸コロナウイルス(FCoV)で、それがストレスなど何らかの原因によって病原性の高いウイルスに突然変異したものだと言われています。
「猫腸コロナウイルス」
怖そうなウイルス名ですが、実は、飼い猫や野良猫など日本に生息する猫の多くが持っているとされているウイルスです。
これ自体に病原性は低いと言われ、ほとんどの場合、感染すると下痢を引き起こすことはあるものの、目立って深刻な症状が現れることはありません。
しかしながら、このウイルスは猫から猫へと感染していくうちに、突然変異を起こすことがあります。
それが、病原性が高いFIPV(猫伝染性腹膜炎ウイルス)です。
このウイルスにかかった猫の体の免疫がうまく反応できなくなると、(FIP)猫伝染性腹膜炎を発症するというわけです。
FIP(猫伝染性腹膜炎)の種類とは?
FIP(猫伝染性腹膜炎)にはおもに2種類あります。
- ウェットタイプ(猫伝染性腹膜炎(FIP)の多くはこちらのタイプです)
- ドライタイプ
どちらのタイプになるかは、猫伝染性腹膜炎ウイルスに対する免疫反応の違いが関係していると言われています。
ウェット、ドライの2種類に加えて、同時に発症する混合タイプ、また最初はドライ、途中でウェットに変わるケースもあります。
それでは、それぞれの症状について詳しく見ていきましょう。
ウェットタイプ
- おなかや胸に水が溜まり、おなかが大きく膨れる
- おなかの水が肺や消化器を圧迫することによる呼吸困難や食欲低下
- 嘔吐や下痢などの消化器異常
- 進行が速く、症状の発生から数日以内に急死する可能性も
ドライタイプ
-
- 様々な臓器に小さなしこりが発生する
「肉芽腫性炎」という特殊な炎症
- ぶどう膜炎(目が濁ったようになる)や虹彩炎(虹彩が腫れたり、充血する)などの症状
- 眼振(眼球が小刻みに揺れる)、斜頚(頭が斜めに傾く)、マヒや痙攣などの神経症状を
- 黄疸や下痢
混合タイプ
上記のウェットタイプ、ドライタイプ両方の症状が同時に発症
FIP(猫伝染性腹膜炎)の症状とは?
FIP(猫伝染性腹膜炎)には、次のような症状が見られます。
- 食欲が落ちている
- 元気がない
- 体や耳が熱っぽい
- 体重が減ってきた
- 耳の内側、白目、口の中が黄味を帯びている
- 下痢・嘔吐が2日以上続いている
- お腹が膨らんできた
- 呼吸が苦しそう
(FIP)猫伝染性腹膜炎の治療について
近年まで(FIP)猫伝染性腹膜炎に対する有効な治療法が確立されておらず、次のような対処療法がおもでした。
- ステロイド剤で炎症を抑える
- 猫インターフェロン製剤の注射でウイルスを抑える
- 免疫抑制剤で過剰な免疫を抑制する
しかしながら、これらの治療では、症状の改善や延命にある程度の効果は示すものの、最終的にはほぼ100%亡くなってしまうため、猫伝染性腹膜炎(FIP)は、不治の病と恐れられていました。
しかしながら近年になってようやく、次のような治療薬を使用した治療実績が多数報告されるようになってきたのです。
- GS-441524
- レムデシビル
- モルヌピラビル
また幹細胞治療という、ステロイド剤など従来の治療薬とは異なる作用で炎症を抑え、免疫バランスを調整するという治療法も行われるようになりました。
もはや(FIP)猫伝染性腹膜炎は不治の病ではなくなりつつあります。
FIP(猫伝染性腹膜炎ウイルス)の予防法とは?
猫腸コロナウイルスが、猫伝染性腹膜炎ウイルスに突然変異する原因にストレスが挙げられます。
しかしながら、猫伝染性腹膜炎ウイルスへの突然変異を予防する方法は今のところ見つかっていません。
猫腸コロナウイルスは、おもに感染した猫の唾液や排便から、ほかの猫の口や鼻を通じて侵入することにより伝染すると考えられています。
そのため、親猫が感染していたり、感染猫と毛づくろいをしあったりすることで感染リスクが高まります。
多頭飼いの環境では、注意が必要です。
一方で、病原性の高いとされる猫伝染性腹膜炎ウイルスは、便への排出がありません。
そのため、猫から猫へと感染することはありません。
また、私たち人間が、猫腸コロナウイルスや猫伝染性腹膜炎ウイルスに感染することもありません。
まとめ
(FIP)猫伝染性腹膜炎は、ひと昔までのような怖い病気ではなくなりつつあります。
とはいえ、まだまだ亡くなっている猫ちゃんがいることは事実です。
飼い主さんは、日頃から愛猫の様子に気を配り、猫ちゃんの異変にいち早く気づくことが大切です。
この記事の監修者

獣医師 田中 浩二
ミネルバ動物病院 院長
兵庫県川西市の犬猫専門の動物病院です。
在籍しているスタッフが多いため、大型犬の手術・術後管理も安心です。
病気の相談、診療のみならず、食餌に関する素朴な疑問、日常のケアなど、どんなことでもお気軽にご相談ください。
医院情報
| 病院名 | ミネルバ動物病院 |
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